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生前贈与まるわかりBOOK
生前贈与とは

生前贈与徹底ガイド 生前贈与とは 生前贈与の基本をまるっと理解できる決定版ガイド

「生前贈与」――その言葉はよく耳にしても、実際のメリットや落とし穴までご存じの方は、それほど多くないかもしれません。生前贈与の活用方法を詳しく知る前に、まずはそもそも生前贈与とはどんなものなのかを見てみましょう。

1. 生前贈与ってどんなもの?

生前贈与そのものは単純な行為で、「自分が持っている資産を生きているうちに親族などに譲ること」をいいます。

では、なぜ生前贈与をするのか?
主な理由は以下の2つです。

  • 譲りたい相手に確実に資産を渡すことができる。
  • 節税して税金を低く抑える効果がある。

では一つ目のメリットからご紹介しましょう。

生前贈与は資産トラブルを軽減する

まず押さえておきたいポイントは、生前贈与は法律上は譲る側と譲られる側の「契約」に基づくもの、とされていることです。簡単にいえば、双方が資産の受け渡しに合意していなければ、生前贈与とは認められません。また、生前贈与した人が死亡した場合、亡くなる前の3年間に贈与した分は基本的に「相続財産」として扱われます。

通常、資産は所有者が亡くなった後、家族などの相続人に引き継がれます。これが「相続」です。
また、遺言を残して資産の分け方を指定するケースは「遺贈」といいますが、この遺贈であれ相続であれ、所有者の死後に行われるということは変わりません。
それに対し、文字通り「生前」に資産を譲る生前贈与では、所有者の意志が確実に実行されます。これが大きなメリットになります。

相続はもちろん、遺言状がある遺贈のケースでも、遺産の分け方で残された家族たちが仲違いをする「争族」や「争続」は少なくありません。一方、生前贈与であれば、それは資産の持ち主本人の希望であることが確実ですから、トラブルになる可能性ははるかに低くなるのです。

次に、生前贈与のもうひとつのメリットである「節税」について詳しく見ていきます。

生前贈与=節税ではない?

節税になるのはどちらか?
もちろん、節税のためにも生前贈与は大いに役立ちます。ただし、普通に生前贈与するだけでは、むしろ相続以上の税金がかかってしまうので、生前贈与の仕組みをしっかり理解しておく必要があります。

相続も生前贈与も課税されるのは同じ。ただし、相続の方が控除額が大きく税率も低く抑えられているので、単純に生前贈与を選ぶだけではより多くの税金を払うことになりかねません
相続税の基礎控除額一例として、無条件で税金がいらなくなる基礎控除を比べると、生前贈与では暦年贈与で毎年利用できるとはいえ、その額は110万円。これが相続なら、基礎控除3,000万円と法定相続人ひとりあたり600万円を加えた額に設定されています。
子ども3人であれば、3,000万円+600万×3=4,800万円が控除されるので、遺産総額が4,800万円以下ならそもそも税金はゼロです。
それに対し、もし1回の生前贈与でおなじ4,800万円を3人に1,600万円ずつ等分に分けた場合は、1人あたり406万円※、3人合わせると1,218万円もの税金を納めなければならなくなってしまいます。
生前贈与の税率は高い
それにもかかわらず、なぜ生前贈与が節税になるのでしょうか。

生前贈与の「仕組み」を活用しよう

それは生前贈与と相続では課税の仕組みが違い、さらに生前贈与には税金がかからなかったり猶予される、いくつもの仕組みや特例があるからです。つまり、それらを賢く利用すれば、必要な税金を抑えることが可能となります。

たとえば、相続の基礎控除は1回だけのもの。ところが生前贈与の基礎控除額110万円は暦年、つまり1年ごとに利用できますから、10年間なら合計1,100万円、もし20年なら2,200万円を無税で譲り渡せるのです。

また、生前贈与には、長年連れ添った夫婦間に適用される配偶者控除や、住宅資金や結婚・子育て資金、教育資金に使用する財産の生前贈与に活用できる非課税の特例があります。さらに、少々条件が複雑で使い方は限定されますが、相続時精算課税制度も大きな利益を生んでくれる可能性もあります。
生前贈与の控除色々
そのほか、受贈者の条件によってはより大きな控除枠も設けられています。そのひとつが障害者への生前贈与に対する控除。その非課税枠は最大で6,000万円にもなります。
もちろん対象者は限られてしまいますが、節税のためだけでなく受贈者の将来の生活を助けるためにも、ぜひ検討すべき仕組みだといえるでしょう。

これらの制度を利用して無税で資産を譲り渡すこと、さらにそれによって相続財産そのものを減らし相続税を低く抑えること。この2つを合わせたものが生前贈与による節税になります。

ここからは、生前贈与の具体的な制度とその活用法の概要を見ていきましょう。

2. 生前贈与の活用法:
ベー
スは毎年110万円の基礎控除

税金額を計算する際に一律で差し引かれるのが基礎控除です。生前贈与にもこの基礎控除があり、110万円までは無税で贈与できます。さらにこれは暦年贈与といって、毎年110万円ずつ利用できるというのが特徴です。

さらに贈与税の基礎控除は、受贈者、つまり生前贈与を受ける側1人ごとに年間110万円までです。つまり、2人の子どもと3人の孫を対象にすれば、110万円×(2+3)=550万円までが無税で移転可能。1年で110万円しかないと考えるのは間違いです。
受贈者の範囲を広げ長期的に続ければ、基礎控除額以内の生前贈与は非常に大きな効果を発揮する節税方法になります。

また多くの生前贈与の特例と違うのは、基礎控除は贈与資金の用途が自由であることです。

どのように利用しても構わないわけですから、たとえば孫に生前贈与する際には、そのうちの40万円で積立NISAを購入するといった使い方も可能です。積立NISAの運用期間は20年間ですから、目一杯利用すれば800万円の運用資産をプレゼントできます。
あるいは、生命保険を利用することも考えられます。相続を考えた保険といえば、通常、契約者と保険対象者:親、受取人:子どもというパターンで、相続時に相続人1人あたり受取保険金500万円までが非課税というものです。一方、暦年贈与された110万円を利用した保険契約では、保険対象者:親、契約者と受取人:子どもになり、非課税枠がない代わり受取保険金から払込保険料分がすべて控除できるので、条件次第でトータルの納税額を抑えられます。

生前贈与における基礎控除の注意点

もちろん、注意すべきポイントはあります。
贈与契約書を作成
まず、贈与契約書などを作成して客観的に贈与であることを確認できるようにすること。毎年110万円の名義を移動するだけでは税務署から「定期贈与(計画的にまとまった額を一定期間にわたって給付する贈与)」に認定され、合計額に課税されることもあるのです。これを避けるためには、贈与契約書の作成以外に、基礎控除以上の金額を贈与してその分の税金を納付したり、贈与の時期や金額を年ごとに変えるなどという方法があります。

また、生前贈与した人の死亡から遡って3年分は、相続財産のなかに組み込んで計算する「持ち戻し」となります。これは、相続税を避けるために行った生前贈与である可能性もあるのが要因です。ただし、持ち戻しは法定相続人が生前贈与の対象となった場合のみのことですから、直接の相続人ではない孫への生前贈与であれば、3年という期限を意識しなければならないということもありません。

3. 生前贈与の活用法:
高額贈与が非課税になる4つの条件

暦年贈与は利用の仕方次第で、大変有利に生前贈与できる方法です。ただし、1年に110万円以内という限度額があり、ほかにもより多くの金額をまとめて生前贈与できる特例も用意されています。制度ごとに特定の条件が定められていますから、ここでその内容を簡単に確認していきます。

最大2,000万円が非課税:夫婦間の「おしどり贈与」

おしどり贈与
40年ぶりの民法改正でも、夫婦間の優遇制度に重点が置かれました。これは生前贈与に関しても同様で、贈与税の配偶者控除が用意されています。

基本的な条件は以下の2つです。

  • 婚姻期間が20年を超えている夫婦であること
  • 居住用の不動産そのもの、あるいはそれを取得するための資金が生前贈与されたこと

この条件を満たしていれば、基礎控除の110万円に最大2,000万円を加えて、控除額は2,110万円になります。

これが通称「おしどり贈与」。ただし、この控除は居住用不動産の生前贈与にしか適用できないため、生前贈与の翌年3月15日時点で受贈者が対象物件に住んでいて、それ以降もそこに居住することが見込まれなければなりません。

この制度の第一の目的は、相続の際に発生するトラブルを回避して、残された夫婦の一方が相続後も安心して自宅に住み続けることができるようにすることです。
不動産は、それだけ相続トラブルの種になりやすいということがわかります。

たとえば、夫婦2人の世帯で先に夫が亡くなった場合。最大の遺産は自宅の土地建物というケースは少なくありません。もし自宅の所有権が夫にあって、妻と子ども、もしくは夫の親族が相続人となれば、遺言書での遺贈でもない限り、遺産分割のためには自宅を売却せざるを得なくなりかねないのです。当然ながらその際には、妻は自宅で暮らし続けることはできなくなります

2018年にはそのような事態に対応して、配偶者の権利を守る法改正も行われました。それでも相続時トラブルへの不安は残ります。そこで「おしどり贈与」によって、あらかじめ住居の権利を配偶者に渡しておこうというのがこの制度の狙いです。

「おしどり贈与」の配偶者控除利用手続きは、生前贈与が行われてから日から10日以上経過した後の戸籍、不動産を取得したことを示す登記事項証明書などが必要になります。不動産登記の手続きは複雑で細かいものですから、無理をせずに専門家に相談し、登記依頼を行うのが一般的です。

ところで2,000万円以上の非課税枠ですから、節税効果も大きいと考えられますが、それは必ずしも正しくありません。実質的には節税効果が期待できないのです。その理由は「二次相続」にあります。

二次相続とは、遺産を受け取った相続人が亡くなって相続が続くことです。多くの場合、配偶者同士はそれほど時間を空けずに亡くなりますから、最終的にはおなじ資産を子どもが相続します。つまり、最初の相続では非課税となった遺産も2度目の相続では相続税対象となり、結局は税の先延ばしにしかならないのです。
ただし、相続ではこの先延ばしも大切な方法のひとつ。二次相続までの間に生前贈与を行うことなどで、充分な節税効果が期待できます。

最大3,000万円が非課税:「子どもの住宅購入」は生前贈与のチャンス

住宅資金の非課税特例
夫婦間だけでなく、子どもの世代にも住宅資金の非課税の特例があります。国民全体に住宅の購入を促すことを目標に、最大で3,000万円までの生前贈与を非課税とするものです。
対象は、両親または祖父母(直系尊属)からの生前贈与のうち、住宅購入資金にあてられたもので、確定申告に際して住宅購入の領収書と受贈資産の情報を共に申告すれば、贈与分が非課税になります。

住宅取得ですから、生前贈与を受ける人にも以下などの条件があります。

  • 生前贈与を受けた年の1月1日の時点で20歳以上であること
  • その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 受贈時点で日本に住んでいるか、外国に一時居住状態であること

※ただし、取得住宅は、親族やその関係者以外からの購入でなければなりません。

これらの条件を満たす受贈者が、住宅購入や建築に使用し、かつその住宅に居住することで生前贈与分が非課税になります。
ちなみにこの制度は中古住宅の購入や増改築でも利用できますが、それぞれ細かい条件があるので注意が必要です。

特例の対象となる子どもや孫など(直系卑属)が住宅取得を考えているようなら、ぜひ一度、生前贈与を相談してみる価値があります。生前贈与による援助で相続財産を大きく減らせるだけでなく、子どもたちにとってはより理想的な物件を購入できる機会にもなります。

なお、非課税限度額の最大3,000万円は、実際の購入タイミングによって今後も変動する可能性もあります。
これは2014年から段階的に引き上げられてきた消費税の影響です。住宅は人生で一番高額な買い物といわれます。数%の増税もその売り上げに大きく影響するので、住宅購入に関わる制度には、この影響を緩和するための経過措置が用意されます。

たとえば、この記事の執筆時点(2019年4月)で非課税上限額が一番大きくなるのは、2019年4月1日から翌年の3月31日までに契約した場合です。現在予定されている消費税率10%への引き上げが実施され、購入住宅が省エネ等住宅の認定を受けていれば、3,000万円が非課税贈与限度額となります。
その後、非課税枠は低下して2020年4月1日以降になると高性能住宅であっても上限は1,500万円と半減します。増税後に住宅購入による特例の利用を考えるなら、タイミングを計ることがポイントになります。

最大1,000万円が非課税:「子育て費用」の生前贈与

子育て費用の生前贈与
少子高齢化が重大な問題となってくるなか、結婚・子育ての資金に対する非課税特例も設けられています。その名称の通り、子どもや孫が結婚・出産を控えているときには、それらにかかる費用を非課税で一括贈与することができる仕組みです。

非課税の上限額は1,000万円。ただし、このうち結婚に関わる費用については300万円までしか対象になりません。
結婚関連で対象となるのは、結婚式場の費用や挙式・料理の代金、衣装代など。結婚に伴う転居費用や家賃なども含まれます。
一方の子育て費用は、出産や妊婦検診費用から、子どもの幼稚園などの入園料・保育料までが対象です。

これらの制度を利用するには、それほど特別な条件はありません。生前贈与した人が直系尊属で、受贈者が20歳以上50歳以下であれば、非課税での贈与が適用されます。

ただし、利用するまでの手続きが複雑な点には要注意です。

結婚・子育て費用の特例を受けるために、生前贈与した人と受贈者は金融機関を介した信託契約のような仕組みを利用します。
受贈者が、インターネット等で取得した申請書を用意して金融機関に提出。それが税務署へ回って受理され次第、生前贈与した人が口座を開設して贈与資産を預けます。
受贈者は、結婚や子育てに使う費用を一旦立て替えたうえで、領収書等の支払い証明を金融機関に提出し、預けられた資金から対象の金額を受けとります。これが非課税の生前贈与となります。

贈与契約が終了するのは受贈者が50歳になった時点、または口座残高がゼロになり、生前贈与した人と受贈者間で契約終了が確認されたときです。
受贈者が50歳になっても口座に資金が残っていれば通常の生前贈与扱いになり、生前贈与した人が亡くなった時点で残高があれば遺贈分として遺産相続の対象となります。その結果として、予想していた以上の税金が必要になるケースもないとはいえません。その点がリスクとなります。
贈与期間は受贈者の資格が20歳から50歳までと30年間もの期間にわたります。計画的に利用する必要のある特例です。

最大1,500万円が非課税:「教育資金」の生前贈与

教育資金の生前贈与
誰にも共通する人生での大きな出費は、住居費と教育資金だといわれます。そのためか、教育資金にも一括贈与に対する非課税特例が用意されています。

その仕組みは、結婚・子育て資金の一括贈与と同様に、受贈者もしくはその保護者が生前贈与を受けるために金融機関へ申請を行い、手続きをするというものです。
生前贈与できるのは祖父母などの直系尊属のみで、受贈者は30歳未満であることが条件になっています。この制度による生前贈与の非課税上限額は1,500万円で、そのうち学校などに支払う分の金額は500万円までとなっています。

贈与契約の終了は、受贈者が30歳に達したとき、あるいは残高がなくなり、生前贈与した人と受贈者双方が契約終了に合意したときです。

ただし、教育資金の非課税特例は、適用対象となる資金の条件が多少複雑になります。
入学金や授業料のように、学校などに直接支払われる費用、あるいは学校以外に支払うもののうち、教育のために必要と認められる費用一般に非課税贈与が認められます。

たとえば、スポーツや文化芸術のための部活動や習い事、指導教室などの料金もこの一部。そのために必要な道具類の購入、施設の利用料なども、指導者の指示による範囲なら非課税枠を利用することができます。
対象として認められるかどうか迷うようであれば、事前に金融機関に相談して確認することも可能です。

ただし、実際には、孫のランドセルを買ったり塾の費用を賄うといった、親族から直接行われる資金援助には税金がかからないことはよく知られています。その点では、わざわざ信託方式に準じる面倒な仕組みを利用するメリットはわかりにくいかもしれません。
しかし、相続税対策としての生前贈与であれば、あえてこの制度を使って生前贈与する理由があります。その理由は、生前贈与した人が亡くなったときの課税条件です。

結婚・子育て資金の生前贈与では、贈与した人が亡くなった時点でその財産は、遺贈扱いとなってしまいました。
ところが教育資金については、口座に残高があるまま生前贈与した人が亡くなると、受贈者が23歳未満であれば残額は非課税のまま贈与されます。
なお、受贈者が23歳以上の場合は非課税というわけにはいきません。遺贈されたものとなり、結婚・子育て費用の贈与特例と同様の扱いになります。

たとえば、この特例の効果的な活用例は、相続税対策をしてこなかった高齢者の場合などです。まだ幼い孫やひ孫などを、受贈者としてこの仕組みで生前贈与すればいいのです。あまり気持ちのいい話ではありませんが、それから10年ほどで生前贈与した人が亡くなったとすれば、その時点での非課税贈与が成立。相続財産を大きく減らすことができます
ただし、もし口座の資金を使い切らないまま受贈者が30歳に達して契約終了になれば、結婚・子育て資金と同様に残額は生前贈与扱いとなり、基礎控除額を超えた分は課税対象となってしまいます。その点も考慮したうえで利用する必要が出てきます。

この教育資金の生前贈与に対する非課税特例はもともと、2019年3月31日までを期限とした制度だったのですが、税制改正に伴う変更によって2年間延長になりました。これに伴って、受贈者の前年の合計所得が1,000万円以上だった場合の利用不可、受贈者が23歳以上になると学校以外の習い事の費用が対象外になるなどの変更が行われています。こうした細かい変更点も、教育資金の生前贈与を利用するにあたって確認すべき事項です。

ここまで見てきた生前贈与の制度と特例は、どれも目的や用途が限定されてはいますが、賢く活用すればかなり非課税で多額の贈与が受け取れます。住宅購入、結婚・子育て、教育、どれも多くの人にとって必要になることなので、どのような仕組みが利用可能かを確認したうえで、関係者同士相談の上、それぞれのライフプランに当てはめて考える価値は十分にあるでしょう。

4. 生前贈与の活用法:その他の非課税特例

ここまで概要を説明してきた生前贈与の制度や特例は、基本的に暦年贈与と並行して利用できるものでした。
一方、暦年贈与と取捨選択できる贈与制度もあります。それが「相続時精算課税制度」です。その仕組みを理解して活用できれば、相続税対策の強い味方になってくれます。
その詳細について紹介します。

「相続時精算課税制度」とは

相続時精算課税制度を利用するためには、生前贈与した人が受贈者の直系尊属であり、かつ贈与を行う年の1月1日時点で60歳以上でなければなりません。また、受贈者はその年の1月1日に20歳以上である必要があります。
また、この制度の対象になるのは、一組の生前贈与した人と受贈者の間における贈与すべてです。一度相続時精算課税制度を選択した場合、それ以降は両者の間で暦年贈与を行うことができなくなります。つまり、年間110万円の暦年贈与と1度だけの相続時精算課税制度は二者択一となります。

非課税限度額は最大2,500万円で、生前贈与額がその上限以上であれば超過分に課せられる税金は一律で20%です。通常の生前贈与とは異なり累進課税ではありませんから、たとえば、本来2,500万円の生前贈与に課せられる45%の税率と比べて、はるかに低率の課税となる点がメリットと考えられます。

以上の点だけを考えれば、相続時精算課税制度は非常に魅力的な制度ですが、充分にそのメリットを活用できる例は限られます。
実はこの制度の場合、非課税での生前贈与を行ってもそれで終わりではありません。相続時精算課税制度で生前贈与された財産については、生前贈与した人が亡くなった時点で相続税が課せられることになります。相続財産に戻されることはなくとも、課税額に関しては通常の相続と変わりません。

では相続時精算課税制度は、どんな場合に節税効果を生んでくれるのでしょうか。

相続時精算課税制度がメリットを生む場合

贈与財産が賃貸不動産の場合
相続時精算課税制度がもっともメリットを生むのは、贈与財産が賃貸不動産など「所有していることで利益を生む財産」であるときです。
たとえば、評価額5,000万円の賃貸マンションを例にしてみます。もし所有者である生前贈与した人が、亡くなるまでに賃貸利益1,000万円を得たとします。その場合、このマンション本体と利益分を合わせて合計6,000万円の相続財産が発生。もし相続財産がそれだけで相続人が子ども1人であれば、相続税は310万円となります。
収益物件を相続
これを相続時精算課税制度で生前贈与しておけば、発生する1,000万円の利益は受贈者のものです。
相続では条件によって課税内容が変わります。たとえば、相続人が1人だけ、相続財産がこの賃貸マンションだけとして、このケースを考えてみましょう。相続税が課税される遺産は5,000万円のマンションのみ。基礎控除額は3,600万円となり課税相続財産は1,400万円です。この場合の税率は15%、税額控除が50万円となるため、相続税は160万円にしかなりません。賃貸によってその時点までに得た利益を納税に充てたとしても、大きくお釣りが出ます。
これが相続時精算課税制度の活用例です。

収益物件を相続時精算課税制度で生前贈与
生前贈与によって所有権を移したとしても、管理は生前贈与した人が続けて行うことができるのでその点でも問題はありません。

また、生前贈与する資産が不動産ではなく、配当金の出る株式などであっても、実際に相続が発生するまでの間に発生する利益は、生前贈与した人ではなく受贈者のものとなります。
賃貸物件や配当金など株式から得られる利益は、保有する期間に応じて利益を生みます。相続に先立って、非課税で子どもなどにその資産を渡せるのは間違いなく魅力的な方法になるはずです。

ちなみに上の賃貸マンション例では、非課税枠以上の資産を贈与していながら、贈与税の計算を行いませんでしたが、これには理由があります。
すでに書いた通り、相続時精算課税制度で生前贈与を行えば、2,500万円以上の部分に関しては20%の贈与税が必要になります。しかしながら、これは一時的なものでしかありません。
生前贈与時に納めた贈与税は、最終的には相続税から控除されます。もし贈与税の金額が相続税額を超えていれば、超過分は確定申告で受贈者に還付されます。
つまり、この制度を利用した際に納めるべき税金は、所有者が亡くなった時点で発生する相続税だけになるのです。

障害者の生活を守る、生前贈与の大きな非課税制度

受贈者が限定されるものではありますが、生前贈与が非課税になる制度の1つに、特定障害者に対する信託贈与の非課税制度があります。

特定障害者とは下記の方です。

  • 特別障害者(身体障害者手帳に二級以上と記載されている人、精神障害者保健福祉手帳で一級とされている人、重度の知的障害が認められている人、寝たきりで複雑な介護が必要な人)
  • 特別障害者ではないものの、身体と精神の双方に障害を持っている人

特定障害者に対する信託贈与の非課税制度の非課税上限額は2段階に分かれます。特別障害者に関しては6,000万円、それ以外の該当者については3,000万円です。
生前贈与の受贈者が障害のために自身で手続きが行える状態ではないと判断された場合、受贈者に代わって代理人と生前贈与した人が手続きを行い、信託の仕組みを利用した生前贈与が行われるのです。

この特定障害者に対する信託贈与の非課税限度額は、各種制度や特例と比べても大きくなりますが、そもそも受贈者の条件が限定的です。また、この制度を利用するときは、関係者がインターネットなどから「障害者非課税信託申告書」を取得、必要事項を記載したうえで信託会社を通じて税務署に提出しなければなりません。

一方で、贈与財産は信託会社が管理を行うためさまざまなリスクから守られ、基本的に生活資金などを中心に受贈者のために使用されます。勝手に浪費されたり盗難に遭ったりという心配もありませんから、特定障害者が生活するための資産をしっかりと保全するという点で非常に優れた制度だともいえます。

生前贈与は早めに着手すればメリットも大きくなる

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以上が、所有者の意志に沿った相手に資産を引き継ぐとともに、相続対策としてもメリットを発揮できる生前贈与の代表的な制度や特例です。

これら生前贈与の制度と特例すべてに共通する点は、とりわけ節税効果に関しては早く始めればそれだけメリットが大きくなるということです。そのためには、事前にしっかりと計画を立てて行動することが重要。なかには手続きに手間がかかるもの、失敗すると税額が増してしまうものなどもあります。
もし詳しくわからない場合は弁護士や税理士などの専門家に相談し、間違いないように確認しながら進めるようにしましょう。

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